美容師の待遇を日本屈指レベルに。美容室「Quartett(カルテット)」共同オーナーの庄司さんにインタビュー【前編】

オーナー自身の経験から、日本一の待遇を目指している美容室「Quartett」。オープンから約2年。「生涯通える美容室」をコンセプトに、日々新しいことを取り入れ続けるオーナーの1人、庄司将之さんにそのお店づくりとご自身についてお話を伺いました。

Quartett(カルテット)

2018年1月にグランドオープン。千葉県市川市、市川駅すぐに位置している。都内と同じような薬剤、商材、トリートメントなどを使用しており、都内に行かなくても流行を取り入れることができるお店。

幅広い世代が、気軽に訪れ、くつろぐことができる空間を大切にしているそう。カフェのようにリラックスした場所を。そんな思いにより、スープからアイス・ホットまで17種類のドリンクを取りそろえ、シャンプーをするメニューほぼ全てにヘッドスパがついているなど、ヘアスタイル以外のサービスにもこだわっている。

「長く働いてほしい」という思いからの待遇・職場環境

編集部:
そもそもなのですが、カルテットさんはどんな方が働いていらっしゃるのですか?サイトを拝見したときは、お若い方が多い印象でしたが。
庄司さん:
普通ですかね。一番上は43歳とか。うちのスタッフは結婚している人が半数くらいで、子どもがいる人もいます。
編集部:
求人情報では「育休・産休」にも力を入れている記載がありました。私個人としては、こういう取り組みに尽力している美容室さんはあまり多くはないイメージでしたが、実際にはどうですか?
庄司さん:
最近増えてきているんですけど、たぶんまだそんなに多くはないですね。こういうのもやっておかないと、これからの時代、入って来てくれないんです。社会保険完備じゃないと、なかなか求人で探してきてくれなくて。たぶん、そこが第一条件って子も多いので。
編集部:
福利厚生だけでなく、給与など、待遇改善していくところにも力を入れていらっしゃる印象がとにかく強いのですが、そういったお取組みに力を入れる理由を教えてください。
庄司さん:
自分たちが働いていている中で「長く働いてほしい」「自分たちも長く働きたい」というのがあって。待遇を良くしておかないと、自分たちも歳を取ったときにも辛いなって。
編集部:
そうした思いはカルテットさんの立ち上げからのものですか?
庄司さん:
そうですね。その時からもう「待遇を良くしよう」みたいなことは考えていました。女性スタッフも多くて、そのときにもう子どもがいる人もいたので。
何かあるたびに話し合いながら作ってきてって感じで。誰かが意見を言って、みんなで話し合って、ベストな状態にしていくみたいな。
編集部:
みんなでこういう美容室がいいよね、というのを集めてつくってきたお店なんですね。すごく素敵なお店ですね! そのときのメンバーは、現在も……?
庄司さん:
ずっと続けてます!
編集部:
でも、そうした待遇の改善って、すごく難しいことではないですか? 今に至ってようやく増えてきたということは、やはり実施に伴う障害が多いからではないかなと思っているのですが、カルテットさんではどうでしたか?
庄司さん:
自分たちはそんなになかったですね。でも、上の人達の給料がずば抜けて良いというわけじゃなくて。美容室だと、スタイリストになって上に立てばたつほど給料が良くなるぶん、下の子が安くなるみたいなのがあるんですけど、その「上が儲かるぶん」を下の子に充てているみたいな感じがあるので。
編集部:
そうすると庄司さんたちが身銭切ってるような感じなのでしょうか。
庄司さん:
今の段階では(笑) でも、不自由なくってくらいですよ。
編集部:
不自由ないくらいだとしても、下の子たちの待遇を良くしようというのがすごいですよね。思っても、本当に実行できるかっていうと、そうではないんじゃないかなと。それでもやる理由はなんですか?
庄司さん:
待遇とか休みとか給料とか、たぶん、やる気に関わってくると思うので。体力面でも疲れるので、働いた分給料が低いとやっぱりやる気もなくなってしまいますし。
編集部:
全体の士気を上げるためでもあるんですね。実際に働いている方の声はどうですか?
庄司さん:
途中から入ってきた子、他の美容室で働いていた子たちは、(比較対象があって)違うなっていうのが分かるので「働きやすい」みたいなことは言ってくれますね。
編集部:
そうなってくると、求人はそんなに困ることがないと言いますか。どしどしいらっしゃったり、しませんか?
庄司さん:
いや、でも場所が場所なので。それほどどしどしは来ないですね。美容師の人は学校に行って説明会みたいのをしているんですけど、自分たちはやっていないので……知られてないっていうのもあると思います。
編集部:
説明会を行わない理由っていうのは、何かあるですか?
庄司さん:
忙しいからですね。行こうと思えば行けるんですけど…(笑)
編集部:
Instagramを拝見していると、昔から今に至るまで、美容師のアシスタントをされている方も見ていらっしゃるようで。「参考になりました」といったコメントもついていたので、Instagramからそうして入る方も多いのかなと勝手に想像していたのですが、今のお話だとそうでもないのでしょうか?
庄司さん:
インスタ見ての求人とかは、結構来てくれますね。
編集部:
もうじゃあ、学校に行く必要もなく(笑)
庄司さん:
今のところは(笑) 運良く、良い子が来てくれてるので。あと、毎年2人ずつは入れていきたいなっていうのもあるんですけど、お店自体はそんなに広くないので、このままいくとお店ぱんぱんになってしまうのもあって(笑) これから少しずつ広げていこうという感じです。

「休めない美容師」ではない、普通に働いて、普通に遊べる時間をもっと

「休めない美容師」ではない、普通に働いて、普通に遊べる時間をもっと

編集部:
ブログを拝見したところ、ポリフェノールが良いということで赤ワインを飲まれていたり、お店でダンスに取り組んでみたり、とても健康に気を遣われている印象があったのですが……。
庄司さん:
実は健康オタクなんですよ。結構本とかも読んだりしてて。テレビで『家庭の医学』とかあるんですけど、そういうのを見るとすぐに取り入れたくなっちゃって(笑) だから赤ワインが良いって聞いたら、ひたすらそれを続けてみたりとか。
編集部:
それは何かを試してみるのが楽しくて好き、ということでしょうか。それとも、意識されていることがあって、健康を大事にしようという行動に繋がっているのですか?
庄司さん:
長生きのためですね。体調崩せないっていうのもあって。あと、楽しく遊ぶためにも、健康を気にしないといけないので(笑)
編集部:
美容師さんはご多忙なイメージが強いのですが、そんなに遊ぶ時間ってあるんですか?
庄司さん:
ありますよ! お店が7時に終わることもあるので、そこから飲みに行ったりもできますね。休もうと思えば週2休めたりとか。
下の子は月9回は休むというのを決めているので、だいたい週2は休めていますね。お金にも余裕があって、(下の子たちも)遊びにも行けるんじゃないですかね。
練習時間とか、だいたい普通の美容師さんって営業終わってから9時からとかするんですけど。自分たちは朝練して、営業時間中も暇なときは練習して、営業終わった後は1時間くらい練習して、そのあとは自由なので。
編集部:
朝練といえば。以前、庄司さんは朝活に力を入れてらっしゃったとか。
庄司さん:
前は朝活で自分だけだったんですけど、もう朝練やろうよってことで。みんな巻き込みました(笑) やっぱり朝から動くと目が冴えて、手の動きとかも違うので。朝起きて、寝起きの状態ではさみを持つと、お客さんも分かってしまうので。
編集部:
良いものは周りにもお店にも、どんどん広げていくというスタイル! 見習いたいです。ちなみに、営業中の練習は、忙しいときはどうするのですか?
庄司さん:
忙しいときはできないです(笑) お客様がいらっしゃるときは、もちろんお客様に尽くしているので。ただ、みんなお客さんを担当しているスタイリストを見て学んだりとかはします。見るだけでも勉強になるので。
編集部:
みなさん学ぶ意欲が高い方が多いんですか?
庄司さん:
みんな実験したりとか。ウィッグを使って、この色に染めたらこうなるっていうのを試してみたりとか、勉強熱心ですね。
編集部:
周りが見て学んでいて、業務中の練習が習慣になっていて、勉強しやすい環境であることも関係していそうですね。お店の待遇欄には「練習用のウィッグをいくつまで支給します」という記載があって驚いたのですが、やっぱり普通は……?
庄司さん:
美容室はないです。だいたいの美容室は自分の給料から自分で買うんですけど、自分たちのところは3台までは出してあげて、もっとやりたかったら自分で買ってもらうような仕組みにしてます。安い給料でさらにそれも買うってなると、やっぱり厳しいので。
それも(独立前、当時の庄司さんご自身が)大変だったのもあるので、そういう経験も踏まえて、一番良い美容室にしていこうと。今までそういう経験をしてきたからこそ、良い店ができるっていうのもあると思うので。
編集部:
いかに庄司さんを含め、オーナーの方々が、「スタッフにとっても良い」美容室づくりに真剣かが伝わってきます。私が美容師さんだったらこんなお店で働きたくなりますもん。
庄司さん:
そうですよね(笑) それを目指してます。一応、日本一待遇が良い美容室っていうのを目指してるので。たぶん待遇的には全国で5本の指に入るくらいいいと思います!
編集部:
強気ですね!(笑) 業界を知らない人間からすると、平均値がどれくらいか分からなくて、イメージが沸かないのですが、教えていただけませんか?
庄司さん:
今たぶん、初任給が平均17万とかですかね。自分たち(カルテット)は22-23万、1人暮らしとかだと手当とかもあるんですけど。お休みは週2です。
編集部:
一般的には「定休日は休めるけど」という方が多いイメージですよね。
庄司さん:
たぶんどこの美容室も、土日ってなかなか法事とかじゃないと休めないところも多くて。やっぱり土日しか友達が休みじゃない、休みたい遊びたいってときに、土日も休んでもらっても大丈夫っていう形にしています。もうみんなで話し合って休みを決めている感じですね。アシスタントの子はアシスタントの子同士で自由に決めてもらっているので。
編集部:
バイトのシフトでここ変わってみたいな感覚と一緒ということですかね。たしかに従業員としては気楽かもしれないですね。でもそうなってくると勤怠管理、大変じゃないですか?
庄司さん:
いや、そうでもないですね。一日に休んでいい人数は一応決めているので。そこを越えなければ問題ないので。最悪じゃんけんで決めています。
編集部:
じゃんけんで!?中学生の給食みたいで、ちょっと和みますね。それができるということは、そうとう従業員同士の仲が良くて、雰囲気も良くないと難しくないですか?
庄司さん:
仲はたぶん相当良いと思います。下の子がだらしなかったことを上にすぐに注意することができるくらい、上下関係もほとんどなくて。言いたいことを言いあえるっ感じで。
編集部:
美容室さんであること関係なく、会社としてとても理想の職場かもしれないですね。言い合える関係値を築くことができているって、すごく強いと思います。自然になっていったのですか?そういう雰囲気作りを意識していたのですか?
庄司さん:
たぶん、性格なんですかね。最初の4人がそういう性格の人達で。スタッフも家族や友達のように扱う感じで、雰囲気作りはあまりしていなくて、素の状態ですね。みんな思いやりのある人達なので。
編集部:
本当にお人柄が良い方々が集まってくるお店なんですね……!
庄司さん:
はい。運良く、そうなりました。うちはO型とB型しかいなくて、なんだか合うみたいで。O型とB型で構成されている美容室なので(笑) たぶんここにA型の人とか、几帳面な人が来ると、嫌になっちゃうかもしれないです。
編集部:
確かにびっくりしてしまうかもしれないですね(笑) いやでも楽しそうな職場というのが、とても伝わってきます!
庄司さん:
本当ですか! もう家みたいなものなので。働いてるって感じもないですね。

独立。4人による共同経営

美容室 Quartett(カルテット)

庄司さん:
自分はもともと美容師になる時点で独立したいという思いがあって。だいたい30歳くらいには独立したいなとは考えていて、30前半くらいで独立している人が多いという話を聞いていたので、10年くらい美容師やって、そこから独立なら良いタイミングかなと思っていました。ただ、もともと共同経営は考えてなかったですね。
編集部:
今の共同経営というのは……。
庄司さん:
最初の4人でオーナーという形でやっています。
編集部:
4人でオーナーというのは、なかなか聞いたことない気がしますが。
庄司さん:
失敗するっていうのはよく言われてますよね。揉めたりとか、あると思うので。
編集部:
先ほどのお話にあったようなお人柄の方々が集まっているからこそできる経営なんですね。
庄司さん:
そうかもしれないです。4人のなかでは自分が一番年下なんですけど、上の人達が良い人達なので。自分がばんばん意見を言っても大丈夫な仲なので。
編集部:
元の職場でウマの合った4人組で「こういう風にしていきたいな」っていうのがあって、4人でオーナーということなのでしょうか。他の3名の方々とは、どういう風に仲良くなっていったんですか?
庄司さん:
自然とですね(笑) 付き合いやすい人達なので。一言多かったりとか、そういう癖の強さがない人達で、仕事をしていく中で、普段から話して、接していて、自然と。
編集部:
そうした中、どういう流れで独立に至ったのでしょうか?
庄司さん:
軽く話していたのが契機ですかね。将来のことを考えたとき「このまま働いていて大丈夫なのかな」「おじいちゃんになったときも大丈夫かな」ってことを話していて。じゃあ、自分たちでやっていった方がいいんじゃないってことで。結構ノリみたいなところもあって(笑)

生活の中の仕事だから、市川に

編集部:
前の美容室さんは、今と同じく市川市だったみたいですが。やはり、同じところで働いていた人達だからこそ、また市川にしようという話だったのでしょうか?
庄司さん:
そうですね。住んでいるところの関係もあって。ちょうど良いところだったんです。自分も市川なので。
編集部:
あえて「都内に出そう」とならなかったのは?
庄司さん:
自分はもともと家族も友達も大事にしたくて、地元から近いところが良いかなというのがあったので。都内に行かなくても、というのがありました。

美容室の外でのコミュニケーション

編集部:
カルテットのみなさんはブログを書かれていらっしゃいますよね。遅刻した日は必ず書かないといけないとか。
庄司さん:
そうなんですよ。ブログはもう曜日で担当が決まっていて。自分は今年の目標で「毎日書く」というのを立てたので、毎日書いていますが(笑)
編集部:
ブログでは「お客様に親近感を持っていただくために書いている」と仰っていましたね。
庄司さん:
やっぱり、少しでも来てもらいやすく、身近に感じてもらえたらなって。それもまた友達みたいな感覚なんですけど。少しでも自分のことを知ってもらって、話題にもなったら良いかな、と。
編集部:
実際に話題になって、盛り上がることも?
庄司さん:
ありますね。結構「楽しみにしてます」って言ってもらえるので。それ言われちゃうと、燃えてくるというか。毎日書かなきゃってなります。
もう言ってくれたら全部なんでも「やりたい」ってなるタイプなので。サプライズとか好きで、喜んでもらえるのが好きなんですよ。
編集部:
サプライズ、お店でもやるんですか?
庄司さん:
やりますよ!スタッフの誕生日とかは、毎回みんなで考えて。プレゼントとかはみんなでサプライズで買ったりしてますね。だから、毎年楽しみですよ。普段自分が買わないものもらえるので。
編集部:
そういう素敵な雰囲気がお客様にも伝わっていて、お客様もそんな空気に触れて「また来たいな」って思っているのかなって。今お話し伺っていて、そんな風に思いました。
庄司さん:
それがまさに思っているところなんですよ。スタッフ同士が仲いいとか、余裕があると幸せな雰囲気が出てくると思うので。余裕を持って楽しく働いてくれたら、それがお客様に伝わって、お客様も幸せになってもらえたらって思っています。
編集部:
カルテットさんに行ったら、もう最終的に幸せな気分になって帰れそうですね!
庄司さん:
そうなっていただけたら幸いです。

お客様が感じる空気は、働いているスタッフから作られる。だからこそ、スタッフが楽しく働くことができるよう、待遇改善に力を入れている、と庄司さん。実際インタビューさせていただいた日は、先に仕事を終えたスタッフさんたちが、庄司さんに声をかけてから上がっていく姿が見受けられ、ビデオ電話という画面越しながらその温かさを感じました。

前半ではお店についてお聞きしましたが、後半では庄司さんご本人を中心にお話ししていきます。

インタビュー後編はこちらから

Quartett(カルテット) 店舗情報

カルテット 市川 スタイル

Quartett(カルテット)
営業時間 10:00~20:00(最終受付 カット19:00/パーマ・カラー18:30)
定休日 毎週火曜日
電話番号 047-324-2525
住 所 千葉県市川市市川1-8-2 市川駅前荒川ビル4F
市川駅 徒歩30秒
市川真間駅 徒歩5分
駐車場あり

アクセス

メニュー

カット 5,500円
  ロング料金なし
ヘアセット・ネイル
ドリンクサービスあり

編集部

投稿者の過去記事

サロンチャート編集部、取材記事専任です。

庄司将之美容室「Quartett(カルテット)」共同経営のオーナーの一人。美容師。

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インスタグラムを中心に、ヘアアレンジやヘアスタイルの情報を発信しており、複数のWEBマガジンにて掲載協力をしている。「生涯通える美容室」を目指す。

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