カラーして、パーマして、縮毛矯正してそのあと特に何もせず「トリートメントつけますねー」と普通に美容室で終了されている感覚ありませんか?
施術後の髪は実にデリケート。美容室では「後処理剤」と呼ばれる薬を使っています。それを使用し、術後のケアをしていないと後に傷みが出てきます。そのため後処理を行うことはとても大切です。しっかりと知識を身につけましょう。
Last Updated:2021/8/17
後処理剤の役割・使い方
後処理剤とは、簡単に言うと仕上げのトリートメントの前にする処理で使用する薬剤のことです。後処理剤を使用することは美容施術の中でとても重要なことです。
後処理を行う理由としては、
- 毛髪内部のPH調節(アルカリ性ではなく弱酸性にし、髪にいい状態にすること)
- 残留しているアルカリ剤を取り除くこと
- 最終的に手触りをよくすること
の3つだと考えます。後処理を行うことは絶対に必要です。
もちろんコストや時間、手間もかかりますから、やらない美容室も多いとは思いますが、私たち美容師の仕事はお客様の髪を守り、きれいにすること。そこを怠る美容室はあまりおすすめできません。ぜひ髪を守ってくれる知識のある美容室、美容師さんと出会いましょう!
まず各施術中に髪の中で何が起きているかを知り、後処理剤がいかに大事なのかを知りましょう。施術ごとに説明していきます。
カラー
カラー施術をする中で髪の内部に何が起きているかというと、まず髪の毛の表面のキューティクルと呼ばれる部分を剥離させ、そこから自身のメラニン色素(黒い成分)を取り除きます。そこに色素を入れて行く作業が行われます。
カラー用後処理剤
カラーリング剤は2種類の薬からできています。色を発色させる1剤と髪のキューティクルを剥離させる2剤。どちらにも多くのアルカリ剤が含まれていますので、それを取り除くことがまず必要です。
あとは仕上がりの手触りをよくするために「シルク」と呼ばれる成分の配合された仕上げ用トリートメントを使用すると良いでしょう。
パーマ
パーマ施術は、まずロッドを巻きますね。そのあとに1剤を付けるのですが、ここで髪の中で起きているのがいくつもの結合を切り離す作業です。これを“還元”と呼び、4つの結合を切り離します。その中でも重要なのが“S-S結合”といい、この結合が切れることで髪が柔らかくなります。
ロッドで巻いたカールが十分にでき上がったら、今度はその切り離した結合をくっつける作業をします。これを“酸化”といいますが、これでパーマがかかります。
パーマ用後処理剤
一番大切なことは還元剤のアルカリをどれだけ除去できるかにつきます。ここなくしては「パーマすると痛むんだよねー」という固定概念を取り去ることはできません。
あとは仕上がりのリッジがきれいに出ること。これもパーマにおいて重要視されることのひとつですので、ここもしっかりと押さえたい所です。
縮毛矯正、ストレートパーマ
縮毛矯正も途中まではパーマと同じです。まず1液で結合を切り、髪を柔らかくします。その後にアイロンをかけ、熱でまっすぐにしてから酸化剤と呼ばれる2液を付け、結合を戻して安定させていきます。
見えないところで剥がされたり、切られたり、くっつけられたりと、髪の内部では結構大変なことが起きています。切り離す際に使った成分が髪に残らないこと、最後に髪の結合をしっかりと固定することがとても大事になってきますよね。そこで必要なのが「後処理剤」です。
これがしっかりしているだけで、もちも傷みの度合いも全然違います。後処理剤作業、そしてより髪を守っていきたいのであれば、ホームケア・トリートメントも欠かさず行いましょう。
どちらにも使用できる両用も
どちらもアルカリを除去する処理をしっかりし、髪が一番安定するPH5.5(弱酸性)にする必要があります。あとは仕上がりのまとまりがあってこそのご満足だとは思いますので、上質な仕上げ用の後処理剤、トリートメントは重要かと思います。
現役美容師がおすすめする業務用後処理剤6選
各メーカーにより違いはありますが、いろいろと試した私の実体験上、効果の出たものをご紹介していこうと思います。またお客様の髪質状態によっても使い分けは大事になってきますので、数種類用意してあると良いでしょう。
カラー用おすすめ後処理剤
仕上がりをよくするものをおすすめしていきたいと思います。つや感、手触りでだいぶ満足度は変わってきます。
配合しているPPT(タンパク質で髪を守るもの)がシルクで、仕上がりの指どおりが違います。18MEAという成分がキューティクルを覆い、内部の成分の流出を防ぎます。
シアバターとマカダミアオイルの保湿力でしっとり感も出ますのでさらさら、しっとりを両方叶える魔法の仕上げ用トリートメントです。カラーの後処理剤にはもってこいの一品!
メーカー | アリミノ |
---|---|
ブランド | シェルパ |
サイズ | 230g、1,000g |
香 り | フローラル |
定 価 | |
商品番号 | 87490 |
ダメージによってできた、毛髪内部の空洞をエルカラクトンと呼ばれるキューティクルの開きを抑制してくれる成分が浸透しますので、カラーの色素の流失を防ぎます。繰り返しシャンプー洗浄を行っても効果が持続してくれて触りをキープできるから安心です。定期的にカラーする方には、ぜひおすすめしたい後処理剤です。
メーカー | 中央有機化学 |
---|---|
ブランド | アメイジングウォーター78 |
サイズ | 500ml |
サロン価格 | |
商品番号 | 99577 |
パーマ用おすすめ後処理剤
リッジをきれいにだしてくれ、仕上がりのカールが作れるものを選びましょう。そして何より傷みを出さず潤わせてくれる成分の多いものを使用しましょう。パーマ後は水分も失われがちになりますので、水分保持力を高めてくれるものもおすすめです。
天然保湿成分やセラミドと呼ばれる乾燥を防ぐ成分が豊富に含まれています。毛髪表面を整え、潤いをしっかりキープ。ベトつかずに髪の深部まで潤いますので、パーマ後にはもってこいの後処理剤です。
メーカー | ナプラ |
---|---|
ブランド | ケアテクトHB |
サイズ | 200ml、500ml |
PPTタイプ | セラミド |
使用用途 | パーマ・縮毛矯正、前・後処理 |
使用方法 | 適量を髪全体に噴霧し、よくなじませる。洗い流さないで使用。 |
定 価 | |
商品番号 | 71721 |
パーマ施術に適したトリートメント成分が配合されていて、仕上がりのリッジの固定をサポートしてくれます。リッジを強めながらパーマヘアに艶を与えてくれるので、後処理としては必需品です。
メーカー | ウエラ |
---|---|
ブランド | バイオタッチ |
サイズ | 30g |
PPTタイプ | 植物性(コムギ) |
使用方法 | 髪に適量を塗布し、洗い流す。パーマブースターを併用するとさらに効果的。 |
サロン価格 | |
商品番号 | 59303 |
カラー・パーマ両用おすすめ後処理剤
とにかく髪の内部からアルカリを除去すること! これはカラー、パーマ両方に共通しますので絶対に必需品となります。ぜひ使用していただきたいと思います。そして薬剤使用後は水分不足が心配ですので、潤いを補うものも必要かと思います。
炭酸とプラチナの効果、抗酸化作用(活性酸素という髪を老化させる悪い物を除去してくれる)で、カラー・パーマ施術後に流水で取り切れなかった残留しているアルカリを除去し、酸化物による頭皮と髪のダメージを抑えてくれる万能アイテム。薬剤の残臭消去効果もあります。
知ってしまうと、これなしに仕上げをするのは怖いくらいの一品です。
メーカー | アリミノ |
---|---|
ブランド | シェルパ |
サイズ | 200g |
使用方法 | 頭皮と髪に適量をスプレーし、全体になじませ、やさしくマッサージしてから洗い流す。 |
サロン価格 | |
商品番号 | 87486 |
ダメージ部分の内部の浸透性に優れています。内部にしっかりと残ってくれるので傷んだ髪の補修や保護効果を発揮してくれます。
細かい粒子のCMC成分であるセラミドは、髪の内部まで素早く浸透し、水分を捕まえて逃がさないので潤いをキープし、パサツキを抑えてくれます。パーマ、カラー後は両方とも水分が逃げがちなので、もってこいの後処理剤です。
メーカー | ナプラ |
---|---|
ブランド | CPモイスト |
サイズ | 200ml、レフィル500ml |
PPTタイプ | 複合体(ケラチン・セラミド) |
使用方法 | ダメージ部分に適量をスプレーする。またKEモイストと混ぜて使用も出来る。 |
定 価 | |
商品番号 | 62545 |
後処理剤はもちろんホームケアもとても重要
髪のために後処理剤がとても重要ということがお判りいただけたでしょうか。後処理で重要な事は大きく分けて2つ。
- アルカリ剤をできる限り除去すること。
- 保湿効果が高く水分保持をしてくれる栄養素をたくさん吸収させること。
より良い仕上がりにするためにもとても重要な作業になりますので、美容師の皆様ぜひ行ってくださいね。それだけでもお客様の信頼度は上がってきます。
そして何よりも術後の髪を守るのは、お客様ご自身のホームケアがとても重要になってきます。シャンプーの見直し、コンディショナーではなくトリートメントを使う、アウトバストリートメントで日々補う、ということも必要となってきますので、ぜひそこも見直してみてくださいね!