移動美容室 許可

移動美容室の許可申請方法と開業に必要なものごと

2016年4月から美容師法が改正されて以来、年々移動美容室などの出張サービスの需要は高まりつつあります。しかし通常とは異なる事業形態のため、開業する際の許可申請などはどうすればいいのかと戸惑う方も多いでしょう。
今回の記事では、そんな移動美容室の概要や開業する際に知っておきたい法律や条例、移動理美容車の費用などについて解説していきます。
Last Updated:2021/4/9

美容師単体の出張はNGでも移動理美容室ならOK?

美容師単体の出張はNGでも移動理美容室ならOK?

原則として美容師は、「美容室」以外でサービスを提供することが法律で規制されています。なぜなら美容室や理容室のような場所は、店舗の開設時に衛生面を中心とした厳しい基準が多く定められているからです。

理容師・美容師はそれらの基準をクリアした場所でしか、基本的に施術を行うことができません。もし違反してしまうと業務停止処分の対象となるため、注意する必要があります。

ただし規制の例外も存在しており、美容師法には以下のようなことが記載されているのです。

第七条 美容師は、美容所以外の場所において、美容の業をしてはならない。ただし、政令で定める特別の事情がある場合には、この限りでない。

引用元:美容師法|厚生労働省

この「政令で定める特別の事情」には、以下のようなものがあります。

  • 疾病やその他の理由により、理美容所に行けない者に対して理美容サービスを提供する場合
  • 婚礼やその他の儀式に参列する者に対して、その儀式の直前に理美容サービスを行う場合
  • 山間部などの理美容所のない地域に住んでいる者に対して、現地で施術を行う場合
  • 社会福祉施設などの入居者に理美容サービスを行う場合
  • 演劇に出演する者などに対して、出演直前などに施術を行う場合

要するに、

  • 高齢や重い病気などで寝たきりの人
  • 結婚式での出張メイク
  • 理美容室のない過疎地などへの出張
  • テレビ出演の直前に行うメイク
  • 介護施設などに入居している人への出張

などの移動理美容室は特例として認められることがあるのです。

また移動理美容車を利用する場合にも、衛生管理などの基準を定めた条例があります。これは各自治体によって基準が違うため、中には規制が緩和されていて移動理美容室をやりやすい地域があったり、逆にやりにくい地域もあるのです。

例えば東京都の移動理美容車の面積基準は、「業務の実施および衛生の保持に支障がない十分な広さを有すること」。しかし他の自治体では、店舗と同様の面積基準を理美容車に適用しているケースも存在します。

この移動理美容車の面積基準は、全国で統一されているわけでなく各自治体の判断に委ねられている部分が大きいです。そのためまだまだ自由に移動理美容室を展開できるとは言い難い状況ですが、東京などの規制緩和されている地域もあることは知っておきましょう。

移動理美容室として開業するには

移動理美容室として開業するには

移動理美容室の開業は、事前準備として様々な事柄を調べたり確認したりすることが重要です。もちろんこれはどんな事業にでも言えること。ただ移動理美容室ではお客様のターゲット選定やエリア調査以外に、各自治体の条例といったことなども調べる必要があります。

なぜなら店舗で施術する場合と違い、出張先の施設などでは衛生面が不十分である可能性もあるからです。顧客の安全面に十分配慮した措置として、様々な基準が定められています。

では具体的に移動理美容室の開業には、どんなことが必要なのでしょうか。ビジネス的な観点や地域の条例などについて見ていきましょう。

商圏調査

どのビジネスの開業においても欠かせないのが、「どんなお客様がサービスを求めているのか」「どのエリアが最もターゲットの多い地域か」などを調べる商圏調査です。

冒頭でお話ししたように移動理美容室を利用するお客様は、主に高齢者や寝たきりの人、介護施設に入居している人などです。最近では自宅で育児している母親、親の介護をしていてなかなか時間の取れない方などの需要も注目されています。

それらのターゲット層に合わせた地域選びや訪問エリアの選定は、集客する上でとても重要です。例えば都会のほうだと人口は密集しているものの、比較的若い層が多く自分の足で美容室に行ける人ばかりでしょう。

新たに開発された新興住宅地では、高齢者や介護の必要な方が住んでいる割合は少ないことが予測できます。そして理美容店が多く立ち並ぶ地域も、すでに出張サービスなどを展開している店舗が集客している可能性は高いです。

また、移動理美容サービスを展開する他のライバル業者のチェックも欠かせません。例えば大手グループの訪問美容業者や店舗型の美容室で行なっている訪問美容サービスなどです。

これらの企業規模が大きいところは、メインで店舗型を運営しながら移動理美容室を行なっているケースも多々あります。大手なのでお客様に安心感を与えやすい反面、サロン業務がある日には予約が取れなかったり、出張費が高くなりがちなデメリットなども見え隠れしているのです。

特に個人で移動理美容室を開業する場合には、まずお客様に利用してもらえるよう様々な工夫を凝らすことが重要になります。例えば認知度を高めるために広告を打ち出す、お客様が予約しやすいよう稼働日を多く設定するなどです。そしてライバル店調査から料金を安くするなどの改善も図りましょう。

都道府県の条例

移動理美容室が許可される基準は自治体によって違うため、事業を展開する上で各都道府県の条例の確認も必須事項です。自分が活動を検討している地域には、どんな条例が定められているのかしっかりと確認し、他の地域の情報と取り違えないようにすることが大切になります。

例えば移動理美容室の届出を保健所に提出することが必要となり、顧客となる対象者についても異なるケースが見受けられます。また上記で述べた移動理美容車の面積基準なども、各自治体の条例により異なるでしょう。

このように届出や対象者などを細かく基準を定めている地域もあれば、特に記載がない地域も存在します。ただしあまり細かい記載がないからといって、移動理美容室の許可が下りるとは限りません。

スムーズに開業するためにも、まずは活動拠点とする地域の自治体に移動理美容室の基準や条例などについて問い合わせてみると良いでしょう。

書類の提出

通常、開業して事業を行うためには警察署や保健所、都道府県などの行政機関に対して許可を得るものです。事業によって「届出」や「登録」などの名称も様々ですが、理美容業に関しては保健所を窓口として都道府県知事へ届出を行います。

そして理美容師の免許を有するものがいること、施設の衛生管理や面積基準などの要件を満たす必要があるのです。これらの要件は事前の申請を行い、都道府県の検査に合格しなければなりません。

ただ中には保健所への届出自体が不要な場合や、逆に申請だけでなく救急薬品や消毒器具一式を見せにいかなければならないケースも。各自治体の公式HPなどに記載がない地域でも、万全を期すために窓口である保健所に問い合わせてみることをおすすめします。

また保健所とは別に税務署にも開業届を提出しましょう。個人事業などで新たに事業を立ち上げる場合、原則として事業の開始から1ヶ月以内に開業届を出さなければならないとされているからです。

開業届を提出しなくても罰則等はないですが、青色申告したり登録した屋号で銀行口座を開設できたりとメリットも大きいので税務署への届出は行いましょう。

移動理美容車を用意して開業する場合

移動理美容車を用意して開業する場合

移動理美容室のサービスを提供する事業者の中には、移動理美容車を利用する場合もあります。移動理美容車は理美容サービスに必要な設備を車内に揃えられるため、出張先の施設で行うよりも整った環境で施術できるメリットがあるのです。

特に高齢者マンションなどのターゲット層が多く住んでいて、かつ施術スペースが取りにくい場所などでは、十分なスペースを確保できるので非常に重宝されます。また移動理美容車には車椅子用のリフトも備えているため、自力で歩けない方や寝たきりの方などが利用しやすいのも特徴です。

通常の理美容室と変わらないサービスをどんな場所でも提供できる反面、ある程度の車体面積が広い大型車の購入や車体の改造などで元手はかなり掛かります。

では具体的に移動理美容車の構造や車体の価格帯などについて見ていきましょう。

車体の構造

車両を移動理美容車として利用するには、様々な構造基準を満たす必要があります。シャンプー台や洗い場から、照明や給水槽などの細かい設備まで定められているのです。

例えば盛岡市の構造基準では、

  • 床や腰板にはコンクリートやタイル、リノリュームまたは板などの不浸透性材料を使用
  • 洗い場は流水装置とする
  • 採光や照明は、作業面の照度を100ルクス以上にする(300ルクス以上が望ましい)
  • 換気設備を空気中の1リットル中の炭酸ガスの量を5cm3以下に保つ
  • 待合所は、作業場と区分した空間を設ける
  • 作業場の床面積だと、椅子1脚までは6.6m2以上、1脚追加するごとに3.3m2以上を増す
  • 運転席は、作業場や待合所と隔壁で区画を分ける
  • 給水槽の容量は椅子1脚につき90リットル以上にし、それと同量以上の排水槽を備える
  • 燃料式給湯機から発生する燃料ガス、車両の排気ガスなどが設備に入らない構造とする

といったことが設備面で定められています。

さらに

  • 不物箱や毛髪箱には、それぞれ蓋つきのものを用意
  • 消毒設備などは器具類やタオルなどを区分して、保管できる設備を設置する
  • 救急薬品などは、外傷の応急措置に必要な薬品や衛生材料を常備する

などの物品を用意したり場所を確保する必要があるのです。

参考:盛岡市「移動理美容所車両に関する手続き」 新規タブ

中には結髪のみなら待合所を設けなくても良い、給水槽や排水槽も営業場所で代用できる設備があれば現地のものを利用しても良いなど、実施する場所やサービスによっても条件が緩くなります。しかし基本的には、通常の理美容室と同じような設備基準が求められることを頭に入れておいた方が良いでしょう。

車体の価格帯

移動理美容車の価格帯は、車両の大きさや設備などの違いによりかなり変動します。金額にすると、およそ400万円代〜1,500万円代と非常に幅広いです。

具体的には安いものだと中古車で570万円、高いものでは席を2つ用意できる理美容設備の整った3.5tトラックで1,200万円ほどになります。

また通常の1.5tトラックに、理美容設備や電動リフトなどを750万円ほどかけて設置するという事業者の方もいるようです。

これを高いと感じるか安いと感じるかは人それぞれ。例えばサロンを1店舗オープンするのは1,000万円以上かかると言われており、移動理美容車をひとつの事業と捉えると570万円や750万円で設備を整えられるのはリーズナブルとも感じられます。

届け出はどこへ?

移動理美容車を利用するには基本的に届出が必要になるので、まずは各自治体などに問い合わせて確認しましょう。そして通常の理美容室と同様に固定施設の開設手続きに必要な書類、追加の添付書類を提出することになります。

書類自体は各自治体の公式HPからフォーマットをダウンロードできる他、役所などで直接受け取ることが可能です。

また移動理美容車の店名や管理する事務所の所在地、車両の構造設備を変更する場合や事業自体を廃業する際にも届出は必要になります。

車両の構造設備の変更については軽微なものなら変更届出で問題ありませんが、大規模な改造を行うと新たに開設手続きをしなければならないケースもあるので注意してください。

理美容師の資格以外にも必要な資格はある?

理美容師の資格以外にも必要な資格はある?

移動理美容室は通常のサロンと少し異なる形態になるので、他の専門的な資格を取得する必要があると思っている方もいるでしょう。しかし基本的には、国家資格である理美容免許があれば十分活動できます。

車両についても、移動理美容車として販売しているものは普通自動車の免許があれば運転できるものも多いです。普通免許を持っていない人は、出張の際に運転専門スタッフを同行させることになるでしょう。

お客様によっては介護が必要なお年寄りや障害をおもちの方などに施術を行うこともありますが、施設への出張であればそこで働く介護スタッフなども同行するはずです。しかし施設側との認識違いが起こることも考えられるので、予約などを受け付ける際に確認しておいたほうが良いでしょう。

また現在では、高齢者や障害をおもちの方などへの施術する技能を持つ「福祉理美容師」という資格も存在します。国家資格ではないですが、介助知識などを講習で学ぶことが可能です。寝たきりの方へのカットやシャンプーなどの技能を身につけられるので、いざという時に役立つでしょう。

そして福祉美容師の資格は、様々な団体が発行しています。
具体的には、

  • NPO法人である日本理美容福祉協会の「福祉理美容師」
  • 医療福祉情報実務能力協会が発行している「認定福祉美容介護師®」や「認定福祉理容介護師®」
  • 一般社団法人の日本訪問理美容推進協会が発行している「福祉理美容ライセンス」

などです。

これらの資格は受講内容や受講料も様々なので、資格取得を目指す際には自分に合ったものを探してみてください。

法律や都道府県の条例を理解した上で移動理美容室を開業しよう

移動理美容室は、衛生面の観点から法律や条例などで一定の基準が定められています。近年においては規制の緩和もありましたが、各自治体によって基準が異なるのも現状です。

特に移動理美容車を用いる場合には細かい設備や構造基準があるので、それらを満たした車両を購入したり設備を整える必要があります。しかし新たに店舗を構えることを考えると、移動理美容車での展開もコスパが悪いとは思えません。

それに2016年4月に美容師法が改正されてからは病院や介護施設だけでなく、乳幼児の世話をする母親や自宅介護で家から出られない方などの一般家庭にも出張できるようになりました。このことから、移動理美容室は年々需要が高まっているのです。

もちろん事業を始めるにあたっては、地域の条例だけでなくお客様を集客するための戦略を練ることも重要になります。ターゲット層や訪問エリアの選定などの商圏調査も欠かせません。

新たなビジネスモデルが生まれつつある理美容業界。これから移動理美容室の開業を目指している人は、法律や都道府県の条例などをきちんと理解した上で参入しましょう。
 
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サロンチャート編集部

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