現在ではヘアカラーの需要が高いだけに、酸性カラーや塩基性カラーの違いを知っておかないと、お客様からの要望に応えられる可能性が低くなってしまいます。何気に細かい知識の違いですが、知っていると提案もしやすく、お客様への信頼に繋がるはずです。どのような違いがあるのか、簡単な見分け方をまとめてみたので参考にしてみてください。
酸性ヘアカラーと塩基性ヘアカラーの特徴
現在ではヘアカラーの需要が、かなり高くなっています。そういう流れから薬剤に関しても、希望に応えられるように種類が豊富です。
含まれている成分に違いがあるのですが、その中でも酸性と塩基性ヘアカラー剤は分かりにくいでしょう。そこでそれぞれの特徴の違いを、かなり簡単にまとめてみました。
酸性カラー | 塩基性カラーより色持ちがいい |
塩基性カラー | 短時間で簡単に染められる |
酸性カラーと塩基性カラーを比較すると、上記のように明確に違いがあります。
このように比較できてしまう原因は、「HC染料」といわれる成分の量の違いです。酸性カラーには、HC染料が多く含まれています。対して塩基性カラーは、酸性カラーよりHC染料が少ない上に、塩基性染料が多く配合されているわけです。
HC染料 | 内部に染色できる上に、色素剤としての役割もある |
塩基性染料 | イオン結合で染色できる |
上記のように、これらの成分にも違いがあります。これらの配合のバランスを変えて、うまくお客様の希望に添えるように作られているのが、酸性カラーと塩基性カラーです。
酸性カラー
酸性カラーの大きなポイントは、上記でも紹介した「HC染料」が多く含まれたカラー剤です。HC染料の特徴は、以下のようになります。
- 色素が豊富でカラーバリエーションが増える
- 染まるのに塩基性染料より時間がかかる
- 頭皮が染まるほど染色する力は大きめ など
酸性カラーで有名なヘアカラー剤は、ヘアマニキュアです。ヘアマニキュアは、HC染料が多めに配合されています。そもそもヘアマニキュアのカラーラインナップを見ると、ヘアカラー剤と違って、色のバリエーションが豊富でしょう。これはHC染料が多めに配合されているからです。
口紅などの化粧品に使われている染料だけに、発色のよさも特徴のひとつになります。とはいえ、ヘアカラー剤にも使われている染料も使っているので、髪に染めたとしても違和感がありません。
しかしヘアマニキュアを見ればわかるように、塩基性カラーより染まり終わるのに時間がかかるのがデメリットです。またヘアカラー剤よりは色持ちが悪い代わりに、塩基性カラーよりは色持ちがいいといったように、色持ちのよさは中間に位置しています。
塩基性カラー
塩基性カラーは、上記でも紹介した塩基性染料が多めに含まれたヘアカラー剤です。塩基性染料は、ほぼイオン結合の力で髪を染めるため、酸性カラーより色持ちがよくありません。
しかし以下のようなメリットがあります。
- ダメージ毛だと吸着しやすい
- 誰でも簡単に染められる
- 頭皮や髪のダメージが少ない など
塩基性カラーを紹介するには、イオン結合について知っておきましょう。
もともと傷んだ髪は、マイナスの電子が多くなっている状態です。そこに塩基性染料を使って塗布すると、イオン結合により、傷んだ髪の部分を中心に付着します。それは、プラスの電子を持ち合わせているからです。マイナスの部分には、染料も含めて付着しやすくなるため、色が染められるようになります。
しかも分子が大きいので、表面にしか付着しません。酸性カラーのように、頭皮まで染まる心配をしなくていいので、誰でも簡単に染められます。もちろんヘアカラー剤のように、ジアミンのような髪や頭皮に負担になる成分は使われていません。その代わりに色持ちがよくないので、シャンプーで洗えば洗うほど色がなくなっていきます。
ちなみにHC染料も含まれているので、色のバリエーションはこの染料でカバーしているわけです。
酸性カラーと塩基性カラーの違い
酸性カラーと塩基性カラーは、成分的に以下のような違いがあります。
酸性カラー | HC染料が多くて、塩基性染料が少なめ |
塩基性カラー | 塩基性染料が多くて、HC染料が多め |
それぞれの配合のバランスの違いから、使った時の効果の違いも出てしまうわけです。
酸性カラーは、ヘアマニキュアとして扱われるでしょう。HC染料が多いだけに、色のバリエーションが塩基性カラーよりも多いのがポイントです。
塩基性カラーに関しては、カラートリートメントとして扱われる場合が多くあります。塩基性染料が多いため、髪を染める時間が短いでしょう。
また色持ちに関しても、次のように違いがあります。
酸性カラー | 塩基性カラーより色持ちがいい |
塩基性カラー | 酸性カラーより色持ちが悪い |
しかしどちらにしても、一般的なアルカリカラー剤よりは色持ちはよくありません。アルカリカラー剤と違って、酸性カラーも塩基性カラーも、髪内部に浸透ができないからです。分子が大きいため、表面にしか染料が付着しないので、シャンプーをすれば色がなくなっていきます。
その反面、髪触りがよくなるといったメリットもあるので、用途によって使い分けが必要です。
酸性カラーと酸化染料剤の違い
上記でも少し触れましたが、一般的なアルカリカラー剤が酸化染料剤です。酸性カラーよりも分子が小さいという特徴があるため、髪の内部にまで染料が浸透できます。そのため酸性カラーと酸化染料剤には、色持ちの違いが明確に違うでしょう。
酸性カラー | 長くて1ヶ月ほど |
酸化染料剤 | 2~3ヶ月ほど色が持つ |
酸性カラーは髪の表面に色素が付着するだけなので、色持ちがよくありません。表面にコーティングするイメージなので、シャンプーをすれば、洗い流した水を見てみると色がついています。それほど色が抜けてしまうので、色持ちを期待するなら酸化染料剤を使いましょう。
- 髪の表面だけで染めるから傷みが少ない
- 色が早く抜けるから色を変えやすい
- 酸化染料剤より発色がいい
しかし酸化染料剤には、刺激物である「ジアミン」が含まれています。正式名称だとパラフェニレンジアミンですが、頭皮が荒れるなどの影響が出るため、傷みを気にするなら酸性カラーを使ってください。
- 酸性カラーより色持ちがいい
- 黒髪を明るくさせられる
- ただし髪や頭皮の負担が大きい
また酸性カラーは酸化染料剤と比べて、発色がいい色味がたくさん出ています。髪の表面に染料が付着するため、色味がいいといった声も多いでしょう。お客様の希望に合った薬剤を選定できれば、信頼につながります。特徴をそれぞれ知っておくことが美容師に求められるわけです。
薬剤知識は失敗回避のために必須
美容師は華やかな仕事だけに、知識を疎かにしている人も多くいます。なんとなく薬剤を選んでいるようでは、お客様に失望される可能性が高いでしょう。それは現在がネット社会だからです。勉強ができていない美容師だと、お客様のほうが知識も豊富で信頼されず、失客につながるケースも多くなります。
正しい薬剤の知識を持っておけば、お客様がネットの情報に惑わされず、アドバイスをしてあげれば信頼してくれるようになるでしょう。特に需要が高いヘアカラーの知識は覚えていると、後で活きてきます。
例えば市販のカラートリートメントをしているお客様に対して、酸性カラーを提案できれば、色持ちがよくなって満足してもらえるかもしれません。お店の売上が単純にアップするだけでなく、お客様がリピートしてくれるでしょう。
希望の色に染まっていないといったクレームは、技術面でカバーできますが、色持ちなどの知識は勉強するだけで克服可能です。指名数を増やす意味でも、正しい基礎知識を持っておきましょう。
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