美容師のお仕事で欠かせないのがカット用のハサミです。ハサミ次第で腕前も変わってきますし、何より愛着のあるハサミを少しでも長く使っていきたいですよね。カット用のハサミはきちんと正しいお手入れをしてあげることで、ぐんともちを長くすることができるのです。これからハサミのお手入れ方法を詳しく紹介していきます。
カッティングシザー(ハサミ)のお手入れ方法
美容師の仕事をしていく上で欠かすことができないのが商売道具となるカッティングシザー、つまりカット用のハサミではないでしょうか。カット用のハサミは1本数万円、高いものだと数十万円もするものもあるので、できる限り長く愛用していきたいものだと思います。
ハサミの状態次第で切れ味も変わってくるので、カットの仕上がりが左右されると言っても過言ではないでしょう。
そこで、ハサミの状態を良く保つための、知っておきたいお手入れ方法をお伝えしていきます。処理手順に沿って項目を分けて紹介していくので、プロの美容師になりたての方にも参考にしていただけると思います。
日々のお手入れがハサミの「もち」につながる
カット用のハサミの劣化の要因の多くは錆びにあります。ハサミの素材となっているステンレスなどの金属は、水や酸に非常に弱いです。水や酸がついた状態で長時間放置していると、ハサミが傷んでしまいますし、切れ味も悪くなってしまいます。
サロンでは、濡れた状態の髪を切る場合も多く、施術後すぐにお手入れをする暇がなければ、濡れた状態で置いておくことになってしまいます。
他にもスタイリング剤などが付着している状態でも劣化の要因となってしまうので、なるべく早く拭き取っておいたほうがハサミは長持ちするでしょう。都度都度のお手入れは難しいとしても、1日の終わりにはきちんとお手入れをすることを習慣づけていきたいものです。
ハサミのお手入れ手順
では、ハサミのお手入れ方法についてお話ししていきます。
お手入れをする時に用意しておきたいアイテムは以下の3つです。
- ハサミ用セーム革
- オイル
- ティッシュペーパー
この3つのアイテムが、ハサミのお手入れに必要な基本的アイテムとなるので覚えておきましょう。
汚れを落とす
まずは、しっかりとハサミに付いている汚れを落としていきます。
ティッシュペーパーやハサミ用のセーム革で付着している汚れやスタイリング剤をしっかりと拭いていきます。スタイリング剤がこびりついている場合は、熱いお湯を使って落としていきましょう。お湯を使うことによって、スタイリング剤の油分が落ちやすくなります。
カットした髪の毛は、ネジの下の部分にも溜まりやすくなっているので、歯を開いた状態で何も残っていないように気をつけながら洗っていきます。
汚れが取れたらティッシュペーパーや柔らかいタオルなどで水分を丁寧に拭き取ってくださいね。
オイルを足す
続いて、ハサミの接触部分にシザー用のオイルを数滴垂らしていきます。ハサミは精密なものですし、人の肌にも触れることがあるものなので、専用のオイルを使うことをおすすめします。
ハサミの刃を開いた状態で、接触部分やネジ下部分へとオイルを1~2滴程度の目安で垂らします。あまりに垂らし過ぎてしまうと、油分がうまく拭き取れず、次回カットをした時にネジ下部分などに切った髪が張り付いてしまう恐れがあるので注意するようにしてください。
刃の接触部分にオイルを垂らしたら、ネジ部分にも1滴、そして刃の裏側の裏スキ部分にも1~2滴オイルを垂らしましょう。
このような流れでもう片方の刃の部分のお手入れも進めていきます。
オイルを上手に垂らせたら、ティッシュや柔らかい布でオイルを全体に馴染ませながら拭き取っていきます。余分なオイルが残ったままにならないように、しっかりと拭き取るようにしてください。
阪本高生堂 ファインシザーズクリーナーオイル710
メーカー | 阪本高生堂 |
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ブランド | ファイン |
サイズ | 220ml |
サロン価格 | 1,100円 |
セーム革で拭く
オイルの後はセーム革で刃の部分を拭いていきます。指を切らないように、セーム革を2~3枚に折り畳んで刃の先端に巻き付けるようにしたら、セーム革を持っている手は動かさずに刃のほうをゆっくりと動かして拭いていきましょう。
この時のポイントは刃を下に向けながら拭いていくことです。刃を下に向けることによって、ハサミの支点に詰まった汚れやオイルが流れ落ちてくるからです。
セーム革はしっとりとした触り心地の方を使って刃を拭いていくようにしてください。刃元から刃先へと向かって、親指でセーム革を軽くつまむようにして押し流していくと上手に拭けますよ。
U.シザーセーム
サイズ | 約120×120mm |
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サロン価格 | 500円 |
セーム革もお手入れが必要です
ハサミだけでなく、セーム革を使ったらそちらのお手入れもしていく必要があります。
石鹸や中性洗剤で優しく押し洗いをしながらセーム革に付いている汚れを取っていきます。セーム革は「洗ってしまったら質感などが変わってしまうのでは?」と不安になるかもしれませんが、製品の取り扱い方法のところにも“洗って乾かした後に、軽く揉みほぐせば元の柔らかい状態に戻る”と書かれているので大丈夫です。
ただし、太陽がガンガンに当たっているようなところは避け、陰干しするようにしてください。
また、洗った後に強くしぼり過ぎないこともポイントとなります。
早く乾くようにとギュッと固くしぼってから干してしまいがちですが、そうすると乾いた時にセーム革の質感がゴワゴワと固くなってしまいます。まだ水が少しポタポタと垂れてしまうくらいに、そっと優しくしぼった程度で干したほうが仕上がりが元のようにふんわりとしやすくなります。
ネジの確認・調整
最後はネジの確認手順です。オイルを指すとネジが緩んでしまうことがあるため、ネジの状態が正しいかどうかを確認していきましょう。
刃先を上にして1cm程度開いてみます。その状態をキープして刃先が全く動かなければネジを締めすぎですし、だらんと開いてくるようであれば緩すぎということになります。
ポイントは緩すぎず締めすぎず、といった適度の加減のところを見極めることにあります。
ハサミの保管方法
ハサミのお手入れができたら保管場所も決めておきましょう。
ハサミが傷む原因にはハサミの落下も挙げられます。ハサミが床に落ちてしまったら刃が欠けたりして使い物にならなくなってしまうリスクもあるのです。ハサミが床に落ちてしまうことのないよう施術中は腰などに着けられるタイプのシザーケースを着け、確実に守っておきましょう。
そして、1日の施術が終わり、お手入れをした後には、平置きできるようなシザーケースなどに入れてハサミが傷まないように工夫をするのがおすすめです。刃をしっかり閉じ、他のハサミと重ねて保管することがないようにしていきます。一つひとつのハサミを独立させて保管するのが、ハサミを長持ちさせるための秘訣となります。
ハサミを丁寧にケアして、大切に長く愛用しよう!
今回お伝えしてきたように、ハサミは1日に1回は必ず丁寧に拭き取ってオイルをさすケアをしてあげることを毎日の習慣としておきましょう。
多少面倒に感じる場合でも、しっかりとケアを積み重ねていくことによって、ハサミのもちが大きく変わってくるので、自分なりのタイミングやルールを決めてお手入れする時間を確保することをおすすめします。毎日丁寧にケアとメンテナンスをして、大切なハサミを長持ちさせるように頑張りましょう。
お手入れをしているのに、切れ味が鈍ってきたと感じる場合は専門の職人さんに研いでもらうのもひとつの方法です。自分のハサミの状態をチェックして最適な状態をキープしていきましょう。
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