美容室 助成金

美容室で活用できる7つの助成金 雇用時に活用すべき事業主のための制度とは

美容室の開業や維持には、少なくないお金が掛かるものです。そんな時に事業の助けとなるのが、国や自治体から支給される助成金です。
申請できるものは業種や職種によって様々なので、美容関係で有効活用できるものをしっかりと理解しておけば必ず役に立つでしょう。今回の記事では、美容室で申請できる様々な助成金についてご紹介していきます。
Last Updated:2021/6/2

助成金と補助金の違い

助成金と補助金の違い

助成金と同じく、国や公的団体などから支給される制度に「補助金」というものがあります。助成金も補助金も国などが事業の支援のために支給するお金なので、原則として返済不要です。

そしてこの2つの最も大きな違いは、以下の2つです。

  • 助成金は、条件を満たせばほとんどのケースで受け取れる
  • 補助金は、きちんと書類を提出し要件を満たしていても審査に通らなければ受け取れない

そもそも助成金とは、厚生労働省が「雇用の安定」を目的として事業を支援するもの。新規雇用の施策を行うなど、条件を満たすだけである程度の目的が達成されます。

しかし補助金は、「事業を通して公益となるもの」に経済産業省や地方自治体などが支給するお金です。用意された条件を満たすだけでは結果が見えづらいこともあるため、コンペ形式にして支援するのにふさわしい企業を選ぶという目的があります。

また助成金と補助金の受け取りは、基本的に事業や設備にお金を投資した後に支給されることがほとんどです。特に補助金に関しては、満額もらえないことも多くあります。

要約すると助成金は比較的給付されやすい制度になりますが、補助金は様々な面で給付されるハードルが高くなっているのが大きな違いです。

助成金の申請には雇用保険への加入が大前提

助成金は、厚生労働省所轄で基本的に安定した雇用を目的として支援するもので、雇用保険を中心に賄われている制度です。

そのため助成金を申請する事業所などは、雇用保険に加入していることが必須条件となります。通常の企業であれば、正規雇用やパートタイムなどの長期労働者を雇っていることも多いでしょう。これらの雇用関係で生計を立てている労働者がひとりでもいる場合は、雇用保険に加入することになります。

しかし美容室の開業については、いきなり法人化せずにひとりの個人事業主として活動を考えている人も多いのではないでしょうか。もちろん個人事業主の方でも、様々な助成金を得ることは可能です。

ただし上記の通り雇用保険に加入しなければならないため、出勤簿や賃金台帳、労働契約書などの整備や基本的な労務管理などを行う必要があります。ひとりで実施するにはかなりの労力が掛かるので、専門的なことは社労士の方に依頼するなどの方法も検討してみてください。

美容室の開業や運営で活用できる7つの助成金

美容室で受けられる助成金

美容室で独立や開業を目指している人の中には、いつか自分のお店を持つことを目標にしている方も多いでしょう。しかし開業するには多額の初期費用が必要になりますし、店舗の維持や新たな人材の雇い入れにも費用が掛かります。そんな時に活用しやすいのが、適切な手続きを済ませ条件さえ満たしていれば受け取れる助成金です。

では具体的に美容室の開業や運営で、活用できる助成金についてご紹介していきます。

業務改善助成金

業務改善助成金は、事業の生産性向上を支援し最低賃金の引き上げを図る制度になります。主な要件は、

  • 事業場内の最低賃金と地域ごとの最低賃金が30円以内の差額であること
  • 事業場規模が100人以下であること
  • 事業場内最低賃金が850円未満であること(コースにより異なる)

などです。

職場内の賃金を一定額以上引き上げて設備投資を行うことで、その投資などに掛かった費用の一部を助成金として受け取れます。

また現行では支給上限が50万~100万円となる2つのコースがありますが、今後新たに3つのコースが追加されます。新設されるコースでは支給上限が25万~450万円となっており、賃金を引き上げる労働者の数や設備投資の額により幅広い支援を受けることが可能です。

参考:厚生労働省「業務改善助成金」 新規タブ

美容室関係では、最近需要の高まりが注目されている介護・訪問理美容で出張用の機器を導入する、店舗に予約システム導入する、などの取り組みに活用できるでしょう。


時間外労働等改善助成金

時間外労働等改善助成金は、労働者の勤務時間を減らしたり有給休暇を取得させたりするために業務改善などを促す制度です。

この助成金には、

  • 時間外労働上限設定コース
  • 勤務間インターバル導入コース
  • 職場意識改善コース
  • 団体推進コース
  • テレワークコース

の5つのコースがあり、美容室においてもいくつかの受給しやすいコースがあります。

時間外労働上限設定コース

「時間外労働上限設定コース」は、これまでの長時間労働を見直し働く時間の削減に努める中小企業を支援するものです。具体的には、

  • 時間外労働が月45時間以下かつ、年間360時間以下に設定
  • 時間外労働が月45時間超から月60時間以下かつ、年間720時間以下に設定

などを目標に実施します。

つまり、

  • 時間外労働の上限規則を設けるため、36協定の見直しを検討している
  • 月45時間を超える時間外労働を減らすため業務改善を検討する

という方などにぴったりです。

参考:厚生労働省「時間外労働等改善助成金(時間外労働上限設定コース)」 新規タブ

勤務間インターバル導入コース

「勤務間インターバル導入コース」は、当日の勤務から次の勤務までに一定時間以上の休息時間を設けるための制度です。例えば○時以降の残業を禁止し、かつ○時以前の始業を禁止することで、労働者のプライベートな時間や睡眠時間をしっかりと確保する必要があります。

こうした勤務間インターバルを新たに導入するほか、対象の労働者の適用範囲を拡大、すでに導入している休息時間の時間を延長することが成果目標です。

参考:厚生労働省「時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」 新規タブ

職場意識改善コース

そして「職場意識改善コース」は、業務の生産性向上を図り所定外労働の削減や有給取得を促すことで「ワーク・ライフ・バランス」の実現を目指す制度です。規定されている特別休暇のいずれかひとつ以上を全ての事業場に導入すること、労働者の月間平均所定労働時間を5時間以上削減させることが目標となります。

参考:厚生労働省「時間外労働等改善助成金(職場意識改善コース)」(PDF)新規タブ

これらの全てのコースは、中小企業事業主を対象としたもの。美容室などのサービス業なら、資本または出資額が5,000万円以下であること、常時雇用する労働者は100人以下であることのどちらかを満たす必要があります

トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金は、求職者の早期就職や雇用機会の創出を図ることが目的の制度です。例えば職業経験の無い方や1年以上離職している方などを、試用期間を設けて雇用すると助成金を受け取れます。

その他にも、

  • 2年以内に2回以上離職や転職を繰り返している方
  • ニートやフリーターの方
  • 生活保護受給者
  • 母子家庭や父子家庭の方
  • 日雇い労働者や季節労働者

なども雇用の対象です。

支給額は、対象者1人につき月額4万円。母子家庭や父子家庭の方は月額5万円となります。ちなみにこの金額は、支給対象者が1ヶ月の予定労働日の75%以上を就労すると満額、それ以下は割合に応じて月額1~3万円と変動します。

支給対象期間は雇用してから最長で3ヶ月間となるため、トライアル雇用助成金の支給額は1万~15万円程度の範囲になるでしょう。美容師の中には子育てや介護などで現場を離れている方もいますので、そうした子持ちのママ美容師さんなどを雇用する際に活用できます。

参考:厚生労働省「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)」 新規タブ

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は派遣社員やパート、アルバイトなどの有期契約労働者のキャリアアップを目的とした制度。主に正社員化や賃金の引き上げを実施することで、企業に助成金が支給されます。

たくさんのコースがあり、

  • 正社員化コース
  • 賃金規定等改定コース
  • 健康診断制度コース
  • 賃金規定等共通化コース
  • 諸手当制度共通化コース
  • 選択的適用拡大導入時処遇改善コース
  • 短時間労働者労働時間延長コース

などに分けられます。

受給するには、事前にキャリアアップ計画書などを作成し労働局やハローワークに提出。コースごとの取り組みを実施します。例えば正社員化コースなら、就業規則に基づき有期契約労働者を正社員として採用し、6ヶ月間の賃金を支払うことで受給申請することが可能です。

また正社員化コースでは、有期契約労働者からの正社員化で中小企業は57万円(72万円)、大企業だと42万円(54万円)の助成額を受け取れます。
※()内の金額は、生産性の向上が認められた場合の額です。

コースごとの詳しい助成内容や助成金額については、厚生労働省のパンフレットをご確認ください。

参考:厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内」(PDF) 新規タブ

パートやアルバイトを雇用していることも多い美容室で活用できる助成金となっており、処遇の改善を図ることで離職率の低下にもつながります。

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金は、雇用しているスタッフに研修などを行い従業員の人材育成に取り組んでいる事業主を支援する制度です。全部で7つのコースに分かれていますが3つは建設業に関するものなので、美容関係だとそれ以外の4つのコースが該当します。

中でも特定訓練コースでは、

  • 職業能力開発促進センターなどが実施する在職者訓練など
  • 採用5年以内で、35歳未満の若年層に対する訓練
  • OJTとOff-JTを組み合わせたものや認定職業訓練

などの効果が高い訓練を実施した際に助成金を受け取れます。

教育訓練休暇付与コースは、美容スタッフが知識や技能などの向上を図るために、有給休暇や長期休暇(最大で150日)を取得できる制度を導入するコースです。そして実際にスタッフが休暇を利用して訓練を受けた場合に支援を受けられます。

特別育成訓練コースは、主に有期契約労働者へ一般職業訓練や有期実習型訓練、中小企業等担い手育成訓練を行うことで助成金を受け取れるコースです。

一般訓練コースでは、その他のコースで実施する訓練以外のものに対して支援されます。また一般訓練コースのみだと1年度の受給額の限度は500万円となりますが、特定訓練コースを含む場合だと最大で1,000万円を受け取ることも可能です。

参考:厚生労働省「人材開発支援助成金」 新規タブ

美容室ではアシスタントからスタイリストになるために、自発的に勉強したり講習などに参加する向上心のある方も多いです。そういったやる気のある人を後押しするのに最適な助成金と言えるでしょう。

両立支援等助成金

両立支援等助成金は、労働者が仕事と家庭生活を両立できるような取り組みを実施している企業に向けたものです。コースは事情に応じて6つに分かれています。

具体的には、

  • 出生児両立支援コース
  • 介護離職防止支援コース
  • 育児休業等支援コース
  • 再雇用者評価処遇コース
  • 女性活躍加速化コース
  • 事業所内保育施設コース

などです。

中でも出生児両立支援コースは、男性が育児休業を取得しやすい職場環境をつくる制度です。1人目の育休時には中小企業で57万円、大企業では28.5万円の受給額を受け取れます。基本的な要件は子供の出生後8週間以内に育休をスタートして、14日以上(中小企業は5日以上)の休みを取得させることです。

介護離職防止支援コースでは介護休業だけでなく、残業の制限や在宅勤務、時差出勤などの労働者が働ける形に合わせた柔軟な就労形態を作る「介護両立支援制度」も設けられています。

介護休業の取得時と職場復帰時でそれぞれ28.5万円、介護両立支援制度の導入・利用により28.5万円の受給額を受け取ることが可能です。

参考:厚生労働省「事業主の方への給付金のご案内」 新規タブ

美容師に限りませんが、育児や介護などの事情で仕事を続けられない人が多くの職場でみられます。そうした方がスムーズに育児休業や介護休業を取得し、その後も職場復帰できる措置を講じることは、企業のイメージアップや優秀な人材の離職防止につながるでしょう。

地域雇用開発助成金

地域雇用開発助成金は、求人が不足している地域で美容室の設置や整備を行い、さらにその地域に住んでいる求職者を雇用する企業に支援を行う制度です。施設の設置や整備に掛かった費用、雇用したスタッフの数に応じて受給額が決まります。

受給するには最長18ヶ月となる計画期間内に、

  • 事業所の設置や整備で300万円以上の費用を掛ける
  • 雇い入れ時に対象の地域に居住しているなどの要件を満たす労働者を3人以上増加させる(創業時だと2人以上)

などの条件を満たす必要があります。

また事前に「計画書」を作成し管轄の労働局長に提出したり、計画完了日に「第1回支給申請書」の完了届を出すなど、書類の作成や手続きが複数回あり手間がかかるので注意してください。

一般的な美容室の開業には1,000万円ほどの初期費用が掛かることを考えると、1回の受給額はおよそ48~60万円で、1年ごとに最大で3回支給できます。設備投資などで5,000万円以上かかり、雇用人数が20人以上となれば1回で最大760万~960万円を受け取ることが可能です。

参考:厚生労働省「地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)」 新規タブ

近年、都会などの人が多い地域では美容室の数も多く、新しく開業する人では顧客の獲得が困難です。そのため、あえて都心から離れた場所に店舗を構えようと思っている方やUターンなどで地方にサロンを開く方もいるでしょう。地域雇用開発助成金は、そうした事業者の方が活用できる制度となっています。


助成金をうまく活用して無理のない経営を

要件を満たしていれば誰でも受給できる助成金は、美容室の開業や運営の助けになる非常に有効な制度です。計画書や就業規則の作成・提出など面倒な手続きをする必要はありますが、受け取れる金額は決して少なくありません。

中には手持ちの資金がなくても助成金や補助金などの制度や銀行などの融資を利用することで、事業を始める資金繰りの上手な方もいます。デメリットが少なく開業する際のリスク軽減にもつながるため、受給要件を満たせそうな助成金があれば迷わず申請することをおすすめします。

現在、美容室向けの助成金というもの自体は存在しないため、助成金が受け取れることを知らずに開業しようと思っている人もいるはずです。うっかり要件を満たすタイミングを逃さないよう、どんな助成金や補助金があるのかしっかりと確認しておきましょう。
 

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